
人々が信仰してきたもの。国や人種、時代が違えど些かの違いもなく人間の支えとなるもの—。私はそういったものの共通点を探すのが好きだ。
自然科学者のダーウィンが示したように、人が悲しんだり喜んだりするといった基本的感情は普遍的なものだ。
私の母親はカトリック系の学校を卒業しているのでキリスト教の精神が強い女性だと思われる。
私の幼い頃は枕元に聖書が置いてあったものだし、嘘などをついて叱られる時などは母は聖書の言葉を引用して私を諭したものだ。
一方、母方の祖父は熱心な仏教徒であるのが不思議なことでもあるのだが、祖父が立派な仏壇に向かって口の中でボソボソと唱える般若心経は子どもながらに特別なおまじないの言葉のようで非常に憧れて必死で覚えようとしたのが懐かしい。
それぞれの信仰の良い部分だけが家のルールにもなり、時には神秘的で厳かな力として子どもたちの成長に影響したと思われる。そんな環境で育ったものだから宗教観の違いが争いの元になるものだとは想像もできぬほど、私にとっての神々は優しく大らかな存在であった。
人が信仰しているものを侵す権利は誰にもない。たとえ親でさえもその権利はない。
そんな基本的なルールが息衝いていた環境に私はただただ幸運と感謝を感じている。
さて、私が最近観た中で非常に印象深かった映画は、フランス人修道士誘拐事件を題材にした映画だ。
カンヌ映画祭のグランプリ受賞作品で、フランスでも大ヒット上映となったそうだ。
決して簡単な映画ではないが、日本の若い人たちも是非一度観て考える機会を作ってみてほしい。
